おばあちゃんのアドバイスせな結婚秘訣

 

著者:前田洋子

編集者:佐藤和恵

 

 

「これでもうお仕舞だ。もう君の顔なんて見たくもない! 別れよう!」

貴女のご主人が突然こんな事を言って家を出て行ってしまう。一度は心の底から愛した貴女のご主人が。逆に、貴女自身がそんな宣言をしてご主人の傍から離れていく…。 こんな事は結婚していれば誰にでも起こる可能性はありますよね。でもここでゆっくりと深呼吸をして、何故こんな事になってしまうのか、どうしたらこんな出来事を避けられるのか一緒に考えてみませんか?

 

もし貴女がすでに結婚しているのなら、晴々と式を挙げたあの日の事を思い出してください。そして心から祝福してくれた親戚や友達に囲まれてお互いに交わした言葉を。 例えば、

「私たち二人は、本日皆様方の前で、結婚の誓いをいたします。これから先、いかなる事があっても心を一つにし、互いに助け合い、明るく幸せな家庭を築くことをここに誓います。」等々。

そんな誓いの言葉はもうとっくに忘れてしまいましたか? 

最近では離婚することが意外と簡単にできるようになりました。おばあちゃんはその原因の一つは、相手を良く知らないまま、そして結婚するためにはどれだけ二人の努力が必要なのかという事をあまり深く理解できないまま契りを結ぶ若者が多いからではと思っています。要するに、あせって結婚し、夢だけを託して式を挙げその結果、結婚した時と同じように意図も簡単に離婚するようになったのかもしれないと。

おばあちゃんのアドバイスに触れる前に、ここで少しおばあちゃん自身の事について触れたいと思います。おばあちゃんは若い頃にカナダ人のご主人とヨーロッパで逢い、その後すぐ結婚しました。でも結婚当初は、二人の結婚生活がこんなにも長く続くとは夢にも思っていませんでした。なぜなら、おばあちゃんが結婚した頃はカナダ政府がやっと不倫以外の離婚を認めたばかりで、まだ離婚をしている人達をあまりみかけませんでしたが、おばあちゃんみたいに国際結婚した場合の離婚率は非常に高く50%以上と聞いていたからです。   

そんな確率と闘うため、おばあちゃん達は時には励ましあい、時には傷つけたりしながら、少しでも良い結婚生活ができるよう毎日努力してきました。その努力が実ったせいでしょうか、おばあちゃん達はもう少しで金婚式を迎えます。ですから結婚についてなら及ばずながら若い人達よりもっと理解していると自負しています。その長い経験から生み出したおばあちゃん独特の「結婚の秘訣」を、現在結婚しようとしている人達や、もう何年かの結婚生活を経て、今離婚を考えている人達と分かち合えたらと心から願っているのです。 

おばあちゃんはまず、結婚を長く続けるための秘訣が一般的にどう思われているかという事を考えてみました。すぐ頭に浮かんできたのは「コミュニケーション」、「愛情」、「忍耐」、「尊敬」、「信頼」、そして「相手を許す心」という言葉です。でもそういう言葉だけではあまり漠然としていて、毎日どんな努力をしたらいいのだろうかなんてことは見当もつきません。ですからここでは、幸せな結婚を続ける為におばあちゃん夫婦が実際にどんな事を続けてきたかという事を書き留めてみたいと思います。 もちろんカナダに住んでいるおばあちゃん達と日本に住んでいる方達とでは何かと違いはあるでしょうけれど、根本的には同じだとおばあちゃんは信じています。  

おばあちゃんによると結婚してからお互いに特に気を付けてきたことはこんな事だそうです。 

1.      コミュニケーション(会話)

愛情と同じくらいに結婚生活に必要と思えるのは、やはりコミュニケーションだとおばあちゃんは信じています。

どうしてかというと、「心から愛し合っていても会話が少なくなることが別れるきっかけにもなる」と離婚の経験のある人達から聞いているからです。その原因は多種多様みたいです。まずおばあちゃんが最初に思い浮かべたのは、毎日忙し過ぎて二人だけで会話する時間がないという事かな? それから相手が家族の意見を重要視せず、こちらの言いたいことを真剣に聞いてくれない。要するに自己主義の相手と結婚してしまったという事でしょう。もう一つおばあちゃんが思い浮かべるのはお互いに秘密を持ち始めて口が堅くなり、徐々に二人の会話が少なくなってきてしまった事等々。 

おばあちゃんが日本に住んでいた頃に聞いた話では、ご主人の仕事が忙しいので帰ってくるのは深夜になる事が多くなり、それが会話の減少の始まりだなんていう例がありました。その反面、奥さんの方は子育てに追われ一日があっという間に過ぎてしまい、夜遅く帰ってくるご主人との会話を辛抱強く聞いている余裕が無くなると。 

おばあちゃんの住んでいるカナダでは、日本ほど仕事に縛られ残業をする事は余り無いのですが、その他の問題が有ります。例えば、子供たちが少し大きくなると男の子の場合はホッケー、女の子の場合はダンスレッスンなど毎晩交代で連れて行かなくてはならない。子供が多ければ多いほど、その回数も多く、夕飯も一緒に食べる事のできない擦れ違い夫婦がとても多いのが現状です。そうすると夫婦二人だけで過ごす時間が少なくなり、会話が殆んど無くなります。     

理由は何にしろ、結婚してからあまり会話をしないことは一番危険だとおばあちゃんは思っています。どうしてかというと、会話が無ければ相手が何を考えているか判らない。判らなければ、自分なりに相手の周りで何が起きているのか想像して、何事も悪い方に考える。そうすると初めは小さかった問題がいつの間にか大事になり、やっと話す機会が有る頃には取り返しのつかない事になってしまう。  

ですからコミュニケーションはとても大事なことなのです。

 

おばあちゃんの場合にもそんな日々がありました。日中ご主人が大学に通い、おばあちゃんは子育てをしながらウエイトレスとして朝晩働いていた時期で、お互いにとても忙しい毎日を過ごしていた時の事です。その頃は、あまり言葉を交わす暇も有りませんでした。そんな生活をしている間はコミュニケーションの大切さを知らず、お互いを誤解しあっておばあちゃん達は随分と口喧嘩もしました。 

でも幸いに、その後コミュニケーションの大切さにおばあちゃん夫婦は若いうちに気が付き、どんなに忙しくても毎週一度はデートすることにしました。デートと言っても、あの頃は子育てするのが精一杯で時間も余り無かったし、レストランやバーに行くだけのお金も無かったので、時々お茶を一緒に飲みに行ったり、二人で散歩に出かけたりしただけです。でもそれは二人だけの時間。おばあちゃん達がそんな時間を大切にするようになってからは、あまり口喧嘩をする事も無くなりました。頻繁に会話をする事でお互いの信頼を高めることができたのです。 

 

2.「お願いします Please」と「有難う Thank you」と「御免なさい  I’m sorry」

  (コミュニケーション)

結婚した後も、お互いに尊敬の意を表す言葉遣いをする事はとても大切だとおばあちゃんは思っています。例えば、相手に何かを頼みたいときは 「お願いします Please」そして、その頼みを聞いてくれた時は、「有難う Thank you」という言葉を必ず言う事です。

 

結婚歴が長くなればなるほど、「お互いを分かり合っている。だから、丁寧に物事を頼む必要も感謝の気持ちも伝えることも必要ではない。」と言う人達をおばあちゃんは沢山見てきました。時々はしぐさだけでお互いの気持ちを伝えようとする日本人の夫婦も。でもただ単に相手に頷くとかとか、または「はい」という言葉で二人の会話が終ってしまうと、上辺だけではお互いの意思が通じている様に見えますが、本当にお互いを理解しているかどうかは疑問です。それに物事を頼まれる方としては余り気持ちの良い物では無いのでは、とおばあちゃんは思っています。ですから、それを敢え(あえ)て、「何々して頂けませんか? お願いします。」と云い、そして相手がその頼みを聞いてくれたら、必ず「有難う。」と一言云う事がお互いを尊敬しあっている証拠で、それが愛情に繋がるのだとおばあちゃんは信じています。

 

これは結婚後、おばあちゃんのご主人がずっと家族に言い続けてきた事です。 何故なら、何か頼むときに「お願いしますPlease」と言わないと、頼んでいるのではなく、命令しているように聞こえるからで。その反面、何かしてあげた時「ありがとう Thank you」と相手が言ってくれたら、次に何か頼まれた時にも快くしてあげようと思うようになるのが人間の本能です。 

そして相手を傷つけたり、悪いことをしたりした時に、「御免なさい I’m sorry」という事もとても大切です。  謝るという事は弱い人間がする事だなんていう人も世の中には居るようですが、おばあちゃんはそう言う風に言う人の方が本当は弱い人間なのではとないかと思っています。 どうしてかというと、自分の間違いをきちんと謝るのは、本当はとても勇気のいる事ですから。

そういう訳で今でもおばあちゃん夫婦は、これらの3つの言葉を日常に頻繁に使っています。例えばおばあちゃんが食事を作るとご主人は必ず「有難う、おいしかった。」と言ってくれます。そして何かを頼みたいときは お互いに「お願いします Please」と言い、傷つけたら「御免なさい I’m sorry」と。もう何十年も結婚しているのだからそんな事は必要がないと云う方も居るでしょうが、こんな小さな日常の思いやりが幸せな結婚生活に導くのだとおばあちゃんは信じています。 そしてこのルールを結婚当初から、自分もお手本になり、取り入れてくれたご主人にとても感謝しています。  

 3.  3度のルール(コミュニケーション)

おばあちゃん自身がコミュニケーションの一部としてずっと続けている事が 「3度のルール」です。このルールは相手が繰り返し不可解な行動をしたり傷つけるような言葉を言ったりした時に使うルールです。具体的にどういう事かと言うと、一度目に誰かが貴方を傷つけるような事をしたら、まず勘違いだったのかもしれないと思うようにし、2度目に起きたら、相手が気分でも悪いか、たまたまあまり考えずに行動したのだろうと思うのです。でも3度目に同じ不可解な事をされたら、相手が意図をもってその行動をしていると認識して、問題が大きくならないうちに話し合って解決することです。これがおばあちゃんの言う「3度のルール」。  

それなら何故、問題が起きる度に文句を言うのをおばあちゃんが勧めないかと言うと、その度にいちいち文句を言っていたら、相手にはただの愚痴に聞こえるからです。そしてそれを愚痴だと思えば、文句を言った効果も全く無いからだとおばあちゃんは思っています。ですから「最初に不可解なことが起きたら、まずは我慢する。2度目に起きたら、多分相手の気分でも悪いので同じことが続いたのだろうと思う。でも3度起きたら必ず相手にその不可解な行動がなんであるか伝える」こと。そうしないと自分が辛くなりますからね。とにかく、少なくとも最初二回は我慢することがおばあちゃんのモットーです。  

昔、こんな事が有りました。ご主人が大学に行っている間、おばあちゃんがウエイトレスとして働いていた時の事です。その頃子供達はまだ小さくて、生計を立てるためおばあちゃんが夜レストランで働き、その間はご主人が子供達の面倒を見てくれていました。ある晩夜中の12時過ぎにおばあちゃんが仕事を終え家族がもう眠っている家に帰ってくると、玄関から居間迄、おもちゃや衣類が沢山散らかっていたのです。おばあちゃんはおもちゃの一つ一つを拾いながら、「こんなに頑張って家族のために働いているのに、家に帰ってきてからも部屋の片づけなんかしたく無い」、と情けなくなりました。そして、仕事からの疲れのせいかとても苛立ちました。そしてこんなことが続けば、自分が精神的に続かないと思ったのです。  

でもその時は初めて起きた事だったので、ご主人がたまたま片づけるのを忘れたのだろうと思い、おばあちゃんは何も言いませんでした。それから少したって2度目に同じことがあり、そして3度目に同じことが起きておばあちゃんが苛立った時、ご主人に向かって、優しく、でもはっきり言いました。 

「夜遅く仕事から帰ってきた後は、私はとても疲れていて小さな事でも気にさわるの。最近仕事から疲れて夜遅く帰ってきた時に家の中がおもちゃや衣類でとても散らかっていて、それを何回か私が片付けなければなかったの。貴方も子供たちの面倒で大変でしょうけど、お願いですから私が仕事から帰って来る迄には家を多少片づけてくれないかしら。」 

ご主人はそれを聞いて初めは驚いたような顔をしていました。でもその後は、おばあちゃんが仕事から返ってくる前に、家の中をきちんと片付けてづけてくれる様になりました。そういう訳でおばあちゃんは、夜勤の後、おもちゃや衣類などを片付ける事は2度と有りませんでした。    

 4.   「3度のルールの後のおばあちゃんの対策法 (コミュニケーション)

ここでは前に触れた「3度のルール」で不可解な事を3度続けた相手に、その事を伝える方法を皆さんと分かち合いたいと思います。この方法はおばあちゃんが昔働いていた会社で参加した「問題対応策」というコースに基づいたものです。 

一番大切なのは、自分の気持ちを伝えるときに絶対に相手を責めない事だそうです。たとえ相手が悪いと知っていても。ではどういう風に相手に自分の不満を伝えるかというと、第一には、自分が相手の行動によって、どんなに悲しい思いをしているか、苛立っているか、または傷付いているかを伝える事です。 

第二に相手のどんな行動が自分をそういう気持ちにさせているのかという事を説明する事だそうです。そうすれば、相手は自分が責められていないので、初めは怒りを感じても、真剣にどうしたらその問題を解決するかを一緒に考えてくれるでしょう。 

ですからおばあちゃんが夜仕事から帰ってくる前に家を片付けて欲しいと伝えた時も、まだ会社のコースをとるもっと前でしたが、幸い彼女はご主人を責めませんでした。ただ単に、事実を述べ、その事実がおばあちゃんにどんな影響を与えたかを言っただけだったのです。 

会社で習った問題対応策のルールの中に一つだけおばあちゃんが家ではしない事が一つあります。それは、問題が起きた直後、なるたけ早く相手が忘れないうちに話すという事です。もし会社で問題が起きた場合は会社の損得にも繋がるので早く問題を解決した方が良いと思うのですが、夫婦や家族の間ではやはり、お互いを尊重して3度のルールを使った方が良いとおばあちゃんは思っているからです。

 

5).   愛情を時々動作や言葉で示すこと。そして相手にいつも笑顔で接すること。

        要するに自分に対応して欲しい様に相手に接すること。(愛情) 

  

愛情を相手に示すことは夫婦の間だけに大切なものでは無いとおばあちゃんは思っています。子供達や孫達、まして他人に対してまでもいつも笑顔で愛情をもって接すると、その笑顔と愛情が必ず戻ってきます。 

これは特に男性に多いのだと思いますが、「毎日愛情を示さなくても一緒に住んでいるという事自体が愛情を持っている証だ。どうしていちいち相手に愛情を示さなければいけないんだ。」なんて言う方が世の中には沢山います。でも女性や子供達は、そして人間誰もが、時々言葉や行動で愛情を示して貰えないと、不安になる可能性があるとおばあちゃんは思っています。どうしてかと言うと、私たち人間の日常の生活の中で何も変わらないという事は殆んど無いし、ある時は一瞬で変わってしまうとおばあちゃんは信じているからです。 

容姿の変化についてもそうです。男性は年を取るにつれ、髪もロマンスグレイで魅力が増したなんて言われる事も有るのですが、残念ながら女性が年を取ると世間ではあまり良く受け止めてくれません。ですから女性は顔に皺が増え始めたり、白髪が増えてきたり、体重が増えたりすると、日に日に自分の容姿に対して自信を失います。そういう変化に毎日闘わなければならないのです。ですからそんな時ほど、もっと夫の愛情が必要になってくるのではないのかとおばあちゃんは思っています。      

言葉でなくても愛情を示し続ける方法をおばあちゃんが何処かで聞いたことが有ります。お互いを30秒間ハグ〈抱擁〉するということです。ハグはお互いの愛情を示すのにとても大事な事だそうです。特に夫婦や子供達の間では。30秒続けると特に効果があるとか。もし愛情が無かったらそんなに長い間抱擁できないのが人間の本能みたいです。ですから、本当に長い間結婚していたかったら、時々30秒以上ハグすることをお勧めするとおばあちゃんは言っています。おばあちゃん達も家族が毎週食事に来た後、別れを告げるときは必ず一人一人ハグする事にしています。特に孫達にはしっかりとハグしておばあちゃん達の愛情を示します。 

おばあちゃんとご主人も時々何気なく、「30秒ハグ今から初めま-す。」なんて言って、笑いながら部屋の真ん中で抱擁することがしばしば有るという事です。 

 

6)     小さな事でも良いから相手を誉めること。人は称賛を受けると自信を持ち、

        もっと良くなろうと努力する。そして貶(けな)されると、

        自信を無くして何をしてもできなくなる傾向があります。(愛情) 

おばあちゃん達に2人目の子供が生まれた頃、ご主人は建築会社で肉体労働をしていました。カナダでの冬はマイナス20度になる事が多く、外で仕事をするご主人の健康がおばあちゃんはとても心配でした。それでお互いに話し合った結果ご主人は大学に行く事を決心したのです。その頃からです、お互いを誉め始めたのは。

「僕には大学を卒業するのは無理かもしれない。」

と自分の能力を疑っていたご主人を、貴方ならできる、と繰り返しおばあちゃんは励まし続け、彼は4年後に無事に先生の資格を取りました。 

その間生活を支えるためにウエイトレス、そしてその後石油会社の秘書として働いていたおばあちゃんですが、ご主人が卒業した後、彼女自身が大学に行くことになりました、ご主人はその時、

「お前ならできる。」

と今度はおばあちゃんを励ましてくれました。石油会社で秘書として働き、子供を育てながらの通学だったので9年掛かりましたが、おばあちゃんは無事に卒業出来ました。初めは英語も完全に理解していた訳でもなく、おばあちゃんにとっては遠く長い道でした。でもご主人の励ましのお陰でおばあちゃんはどうにか目的を果たすことができたのです。 

それからもご主人は、おばあちゃんが何をしても励ましてくれただけでは無く、褒めてくれたりもしたので今のおばあちゃんが在るのです。おばあちゃんも、その後もご主人にいつもこんな風に言って励まし続けました。

「貴方自身を見てごらんなさい。貴方は能力も知識もあるし頑張り屋です。その上、スーツを着たらどこかの会社の社長さんに見えるわ。貴方ならきっとできる。私は貴方を信じています。」

そんな言葉を何度も聞いて仕事に携わり頑張ったご主人は、いつしか金融会社でディレクターにまで昇格しました。鉄工場で有名なハミルトンで育ち、高校を出たあとはその工場の一つで働くことだけを期待されていた彼がです。   

励ましたり誉めたりすることは結婚生活には無くてはならない事だとおばあちゃんは信じています。そして子供を育てる時にも。

  

7. 他人の前では絶対に相手の悪口を言ったり、責めたり、辱めたりしないこと。(愛情)

  

これは夫婦関係だけではなく、どんな人間関係であってもお互い関係を良く保つ為にはとても大切な事だとおばあちゃんは思っています。そして、たとえ冗談であっても絶対にやってはいけない事だとおばあちゃんは強調しています。

何故かというと、人間は男女や年齢に問わず、自分の失敗したことや恥ずかしい出来事を他人に知られる事はとても嫌なものです。まして自分の一番信頼している人がそれを他人に話している場合は特に。ですから他の人がそんな会話を始めても、お互いにかばってあげるのが夫婦愛、家族愛だとおばあちゃんは思っています。 

もしどうしても相手の態度が気になるなら、周りの人が居る時でなく、二人で席を外してからか,家に帰ってから優しく言ってあげることがおばあちゃん達の流儀だそうです。

 

でも一度だけ、おばあちゃん自身が間違いを起こしてしまった事があります。

嫁の実家で夕食会があった夜です。ご主人はとても話し上手で、家族で集まった時に会話を時々独占する傾向があります。あまり知らない人達に囲まれて気が張っているときは特にそんな傾向があるとの事。その夕食会では嫁の親戚もかなり参加していて、ご主人は知らない人達に囲まれて食事をする羽目になりました。 多少気が張っていた他の人達の雰囲気を和らげようと、ご主人はいつもの様に面白い話しを食事中に始めたそうです。そのお陰で皆の顔もほころび、食卓の雰囲気も和らいできました。そして周りの人がやっと勇気を出し会話に加わろうとしたのですが、何時まで経ってもご主人ばかり話していて、嫁の親戚の方達は会話に入るすべも無くなってしまったのです。普段はあまり口を挟まないおばあちゃんですが、この時ばかりは見るに見かねて、

「お父さん、少しほかの人に話す機会をあげたら?」

と、優しく言いました。でもご主人は人前でそんな言葉をおばあちゃんが言うとは期待していなかったので、ちょっと傷付いたらしいのです。あの時はおばあちゃんが大切なルールを破りました。今でも反省しています。   

8.  恋をして結婚したほとんどの人が、自分の正反対の性格の人に惹かれる傾向がある。

            だから結婚を成功させるためには、お互いの性格の違いを尊敬するように努力する事。

         (忍耐と尊敬)

不思議なもので、おばあちゃんの周りの夫婦はほとんどみな性格が全く反対で、良くあんなに違う二人が結婚したなと時々感心する事があります。おばあちゃんの場合も同じで、どちらも丑年の割には性格が全く反対で、ご主人はスポーツとなれば何をしても強いし、おばあちゃんは全くダメ。ご主人は仕事以外ではあまり他人と接することが好きではないのに対して、おばあちゃんはとても社交的。 そして彼は感情をすぐ面に表し、おばあちゃんはどちらかというと何があっても、どーんと構えています。   

 

そんなに性格の違いが有る2人は、初めはどうして相手があんな行動をするのかと疑問ばかり持っていました。でもお互いに相手の行動を理解するようになってからは、それが逆にお互いを助けているのだと考える様になりました。おばあちゃんによると、恋に落ちたという事は、自分には無い、でも相手にある何かに惹かれたという事。ですから、徐々にお互いを知る努力をすれば、相手を心から理解できることも可能だとおばあちゃんは思っています。 

二人の性格が全く違っていた事で良い結果が生まれた例が一つ有ります。おばあちゃんが何かを決断する時は、大抵その時の感情に従って物事を決めることが多いのですが、それとは全く反対に、ご主人は何ごとも論理に従って決めるタイプです。随分前に、おばあちゃんが新しい会社に行くか、それとも今迄の会社に残るか迷っていた時が在るのですが、彼女は17年も働いていた会社がとても居心地が良いので、新しい会社に行くことを拒んでいました。でもご主人はその選択が正しい判断ではないのではと彼女に問いました。彼は、両方の選択肢の長所と短所を紙に書いて、それを慎重に分析してから決断することをおばあちゃんに勧めました。おばあちゃんは彼の言った通りに従ってどちらかを選び、最終的には新しい会社に行く事を決めました。会社を変えたことで初めは残業が多く、その上仕事の手順を一から習わなくてはならず一時は間違った決断をしてしまったかの様に見えました。でも何年かたった後に、その決断が正しかったことに気が付いたのです。何故かというと、新しい会社で働くことがその後のおばあちゃん達の経済的な立場をもっと明るくしてくれたからです。あの時、ご主人の論理的な考え方に耳を貸さなかったら、定年後の今の裕福な生活は到底できなかっただろうとおばあちゃんは思っています。 

 

9. 大きな決断、特に金銭的な決断は、同意を得てからすること。

           若し同意できなければその決断を諦めること。(忍耐)

おばあちゃん達は大きな決断をするときは必ず話し合い、同意をしてからするようにしています。特にお金に関することでは。ある程度の金額以上超えたものを購入するときは、お互いに話し合い、同意してからする様に心掛けています。 ですから金銭面で喧嘩をしたことはほとんど有りません。そういうルールを結婚した時から決めていました。という事は、自分の思うままに行動ができないという事ですから、我慢することが求められます。

おばあちゃん達の経験から一つの例を挙げれば、2001年に新しい家を探していた時の事かな? カナダでは、家の引っ越しはとても頻繁で、おばあちゃん達も家族の必要に応じて3度目の家を探していました。おばあちゃん達もそれぞれ気に入った家を見つけたのですが、お互いに相手の選択した家には同意できませんでした。普段はどちらかが折れるのですがこの時ばかりはそんなことも無く、最終的にはその年は家の購入は諦めました。でもそれで良かったのです。息子がその2年後に新しい家に引っ越し、2人目の子供ができるから、なるたけそばに引っ越して欲しいと言ってきました。そして息子の家の近くで物件を探したところ、4軒先離れたところに、家を建築する予定のある空き地を見つけました。 そしてそこに新しい家を建て、一年後におばあちゃん達は引越ししました。お互いが同意して購入した家は18年たった今でも、二人ともとても気に入っています。    

10. 恋をしていた頃の情熱は年を取るにつれ冷めてくるもの。ですから結婚している間に

            お互いに尊敬できる存在になること。そしてできる事なら、初めから尊敬できる人と

            結婚すること。(尊敬)

  

恋に落ちた頃の情熱は、残念ながら年を取るにつれて薄れてきます。そして長い間寄り添って生活してきた夫婦のお互いの愛情は、空気みたいに、段々見えなくなってきます。そして相手が傍にいてもその存在に感謝することも無く生活することが多くなるのです。でもある時、急に相手が居なくなると、まるで空気が無くなって呼吸もできなくなる程、とても辛い思いをするものです。  

ですから、結婚生活をしている間に、たとえ情熱が消えてもお互いが尊敬できる存在になることが大切だとおばあちゃんは思っています。

おばあちゃん達の場合は、先ずご主人が大学を終え、そしておばあちゃん自身も大学を卒業し、その後も努力しているのを見続けることで、気が付かないうちにお互いを尊敬し始めていました。ですから年を取ってきて、若い頃に感じた情熱が覚め始めてきても、相手を人間として魅力のある人だと思い、お互いにとても尊敬しています。

良く考えてみると、結婚した相手はこの世で一番大切な人なのです。そんな大切なことを忘れがちな私達の人生はとても悲しいものです。そしておばあちゃんの知人の中には、他人にはとても良く対応するけれど、自分の家族をないがしろにする人も結構いるのだとか。おばあちゃんにはそれが信じられません。家族が一番大切ならその一人一人に愛情を注ぐのが当たり前なのではとおばあちゃんは思っています。

 

11.二人の将来に目的を持つこと。そして、お互いに別々のゴールがあるなら、

           お互いにそれを支えること。(尊敬と信頼)

おばあちゃん達は、幸い夫婦共々あまり物やお金に執着心がありません。ですから昔のゴールは、子どもをもって小さな家を持ち、幸せな生活をすること。そのゴールが叶ってからは、もっと旅行をして世界を知ること、そして不幸な人たちのために寄付やボロンティアをすること。そして定年退職してからは、将来子供たちに迷惑が掛からないように、ある程度の資産を持つことなどが二人の目的でした。お蔭様で、今のところは、その一つ一つのゴールが叶っているようにおばあちゃんは感じています。 

おばあちゃん達のゴールが家を持つことから、海外旅行をすることに変わった頃、

「どうしたら貴女みたいに、毎年家族全員で外国に旅行に出かけることが出来るの?」

と会社の同僚から聞かれた事が何回かありました。そんな時おばあちゃんは、

「私達は、外国に行くことが家族の楽しみ(ゴール)なのよ。だから主人も私もあまり高価な物を買うことも、仕事の後や週末に食事やお酒を飲みに行ったりする事もあまり無いし、煙草も全然吸わないの。でもその分少しずつお金をためて、毎年旅行に行くのよ。その人にとって何が一番大切なのかなんて言うのは人それぞれでしょう? 例えば大きな家や高い車を買う事に満足を感じる人、そして友達とお酒を飲みに行くことが自分の生活にとても大切だと思う人、そうかと思うと新しい服を毎週買う事に楽しみを感じる人が沢山いるわよね。それは個人の選択だから、その人がそれで満足できればそれに超した事は無いと思う。たまたま私達の場合は、家族で旅行することがとても大切な事の一つなのよ。」 

と、答えました。 

勿論おばあちゃんにもご主人にも個人的なゴールがあります。そんなゴールもお互いに励ましあってそれが叶うよう努力しています。例えばおばあちゃんの場合は、カナダの大学を卒業したいとか、自分で作曲した歌をCDにしたいとか。 その一つ一つは、ご主人の後押しを受けたからこそ叶いました。  

 

12. 結婚する前は、全く違った環境に育った2人だったということをお忘れなく。 

         (忍耐と相手を許す心)

結婚してからは誰もが新たな日常生活の変化に挑戦しなければなりません。特に自分の回りの世話をそれまで全部母親がしてくれていた時の場合は。結婚後、相手のやり方と母親のやり方が違う場合は、どうもしっくりいかない事が時々有ります。それが原因で意見が合わないのは当たり前、全く違った環境に育ったのですから。その違いを尊敬しあって、ある程度はお互いに譲り合う事が大切だとおばあちゃんは思っています。自分や、又は母親が今迄はこんな風にしていたからといって、それが必ずしも一番効率的であるとは限られていませんし。    

 

おばあちゃん達の場合は国際結婚でしたので、基本的には日本人であるおばあちゃんがカナダの生活に順応しようと努力しました。例えば、ご主人のお母様から見様見真似で料理法や家事を習い、なるたけ彼の結婚前の生活に合わせるようにしました。そんな努力を随分しても、つまらないことで意見が違う事がしばしばありました。小さな例では洗濯物のたたみ方やお皿の洗いの方などです。でも今ではお互いを尊敬して、自分のやりたいようにやっています。 

 

そんな風に譲り合っていても、一度おばあちゃん夫婦の間で問題になったことがあります。それはご主人が定年退職して毎日家で過ごす様になった時です。仕事をしていた時はあまり関心が無かった家事にご主人がもっと積極的になって助けてくれるのはとても有り難かったのですが、おばあちゃんのやり方が自分のやり方と違うと色々と文句を言い始めました。多分、ご主人は変化のない毎日を家で過ごす事になり、時間を持て余してそんな生活に少し苛立ちを感じていたのだと思います。でもその時おばあちゃんはご主人にはっきり、そして優しくこう言いました。

「私は子育てと仕事をしながら何十年もこの方法で家事をやってきたのよ。そしてこれまで特に問題が無かったのでしょう? 貴方とやり方がすこし違うからと言って、別に問題が起きるわけでもないし、いまさら変えるつもりはありません。もしどうしても変えてほしかったら、文句をいうのでなく、もっと優しく私に言ってくださいませんか。そうでなければ、これから全部あなたが責任をもってやってくださってもいいんですよ。」   

それからは、ご主人は家事のことで何か言いたいことがあった時はとても優しく言ってくれるので、おばあちゃんは逆に彼の意見になるたけ応じるようにしています。

  

おばあちゃんが思うに、相手の行動に苛立つという事は自分の思うように物事がいかないからであり、相手をコントロールしようとするのが原因。そしてそれは自我が強いという事。そういう自我は社会で出世するためには必要かもしれませんが、平和に暮らそうとしている夫婦には余り無い方が良いのではとおばあちゃんは思っています。

13. 結婚すれば相手は変わるとか、自分が変えて見せるなどと思わないこと。(忍耐)

昔おばあちゃんの知っている人の中にこんな方がいました。彼女は結婚する前から相手のことをあまり良く言っていなかったので、そんなに嫌だったら結婚しなければ良いのではとおばあちゃんは提案しました。ところが彼女は結婚したら彼は絶対に変わると言いました。彼女が彼を変えてみせるとも… 残念ながら、そのあと結婚しても彼女のご主人は全く変わりませんでした。そうすると今度は、子どもが生まれたら彼は変わると言ったのです。でもその期待は見事に裏切られ、何も変わることは有りませんでした。 その後彼女は何度も同じような事を言い続けていましたが、ご主人は少しも変わることなくそのうち離婚してしまいました。 

世の中にはそんな人が沢山いるみたいで、それが理由で離婚する方も結構いるみたいです。おばあちゃんが思うに、要は、結婚する前に相手をそのまま受け入れる事ができないのなら初めから結婚しないこと。なぜなら人間はそう容易に変わるものではありません。もし変わってもそれは一時的なもの。例えば、婚約している期間だけとても優しかったとか…。それでも結婚したいのなら、長期間かけて自分自身がお手本になって変わって貰う様に少しずつ努力するしかありません。おばあちゃんが思うに、彼女だって誰かに言われたからって、そんなに急に変わることは不可能だと思っています。でも少しずつ彼女自身も変わってきているのは事実です。もう48年も一緒に生活しているのですから…

おばあちゃんはずいぶん昔、作者不明の英語の詩を読みました。それを日本語に翻訳したらこんな風になると思います。

         「私が青年の頃、世界を変えたいと思いました。 

   でも世界を変えることはとても難しいと悟り、

   それなら自分の住んでいる国を変えようと努力しました。 

   そして国を変えることも困難であると分かった時、

   自分の住んでいる街を変えることに専念しました。 

   そしてその街をも変えられなく年老いた私は

   少なくとも自分の家族を変えようとしました。

        随分年老いた今の私は、変えられるのは自分だけだとやっと悟ったのです。 

   その時突然気が付いたのは、もし自分自身をもっと前に変えていたら、

   家族にその影響があり、その家族と共に私達の住んでいる街にもその影響を

   与えることができたでしょう。そしてその影響が国をも変えることができ、

   世界を変えることも可能であったかも知れないかもしれないと。」

 

14. お互いに健康に気を付けることは、良い結婚生活には欠かせないこと。(愛情、許しあう心)

 

心身健康であれば、何をするのも可能であるとおばあちゃんは信じています。 健康でなければ、何かにつけ苛立ちそして不安になり、お互いに愛情を持っていても、その愛情を素直に伝えることができない。ですから幸せな結婚生活をしたいなら、まず食生活から気をつけて、適度な運動もし、体を健康に保ことが重要だとおばあちゃんは思っています。 

でも、いくら体に気を付けていても、厄年を迎えた男性や、閉経前後の更年期障害を患う女性などは何かと苛立つことがあり、口論を避けることが難しい時もあります。そんな時は、お互いを理解し、許しあう気持ちがとても大切だと思います。そして自分も年を取り、そんな時期を過ぎなくてはならないのだという事を常に心に留めておくことは、とても必要だとおばあちゃんは思います。

15.子供を育てる時期は、夫婦ともにお互いをサポートすること。(信頼)

子供達が十代になると成長ホルモンのせいで親に反発する一時期があります。 そんな時には子供達は片方だけの親を自分の味方にしようとし、もう一方の親を攻め、その親に挑戦する事もあります。例えば自分の思い通りにさせてくれない母親に怒りを感じて、子供が母親の悪口を父親の前で言う…。そんな時に父親が子供の味方になってしまい母親の権力を損なうようであれば、夫婦の関係まで上手くいかない事もあるのでは。ですからそんな時は、夫婦共々一段となって子供に接することが必要だとおばあちゃんは思っています。  

 

16. 過去に起きたことを顧(かえり)みて後悔することを避けること。(忍耐)

おばあちゃんが思うに、私達人間はいつも、「ああすれば良かったとか、こうすれば良かった」と言う癖があると思います。でもおばあちゃんはそんな生き方をすると、何時まで経っても幸せになれないと信じています。ですから自分の定められた道をそのまま受け止め,過去にあったことに対して後悔せず生きることがとても重要だとおばあちゃんは思っています。 このことは結婚生活だけに当てはまるのではなく、幸せな人生を送りたいと思う人にはとても必要なことです。

20歳前のおばあちゃんはそれができず、何事にも後悔ばかりして不満に満ちた生活を送っていました。でも成年になってヨーロッパ旅行にでる少し前にカトリック教会の主催で行われた黙想会に行った時から、おばあちゃんは変わりました。その時にお会いしたカナダ人の神父様から、「自分の道はもう定められているのだから、どんな事が起きても後悔しないように」と言われたのです。若かったおばあちゃんはその言葉をまともに信じ、それからは何があっても、あまり後悔することのない人生を送ることができました。その考え方は、おばあちゃんを「幸せ」に導いてくれたのです。それだからと言っておばあちゃんに何も悪い事が起きなかった訳ではありません。でも彼女は、悪いことが起きた時は何かの理由があったのだと思う事にしています。時間がたって振り返ってみれば、そんな悪い経験もおばあちゃんのその後の幸せに繋がっていると思えるまでになりました。   

例外は勿論おばあちゃんにも有ります。もし彼女が誰かを傷付けることがあったり、その人を死に追い込んだりしたら、後悔しないことは絶対に無理です。幸い彼女は、これ迄はそんな経験を免れることができました。これからもそんなことが無いようにおばあちゃんは願っています。 

17.お互いに約束した事は必ず守ること。とにかく自分の言ったことには責任を持つこと。(信頼)

 

信頼を育むにはお互いの約束を必ず守ることから始まると思います。という事は、あまりやる気もないのに、これからこうする、ああすると無闇に宣言したり約束したりしないことです。できないことを常に約束して相手をがっかりさせてばかりいると、相手は、どうせ約束は果たさないだろうと思い始めます。そんなことが続くと、信頼どころか人間としての尊敬を失うかもしれません。要するに将来にすることはあまり口にせず、行動に移すことが大切だとおばあちゃんは思っています。まさに「Just do it」です。

18.大きな喧嘩をした時はそれが解決するまで絶対に家を出ないこと。(忍耐)

これも結婚した後に約束して欲しいと、ご主人が言った事の一つです。結婚したての頃は時々大きな喧嘩をしておばあちゃんが子供を連れてアパートを飛び出したことが有りました。彼女は自分の怒りが収まるまで近くの公園に行っただけなのですが、ご主人の方は家族が何処に行ってしまったか見当もつかずかなり心配したみたいです。そんなことが2,3回あった後ご主人は、喧嘩をしても、とにかく家を出ていかないことを約束してくださいとおばあちゃんに頼みました。 怒りが収まるまではお互いに別々の部屋で過ごして、冷静になってから、どうしたら同じことが起きることを避ける事ができるかを話せばよいと。  

というわけで、喧嘩をしても、冷静になってからいつも問題を解決していたので、お互いの心に蟠り(わだかまり)が残ることは無くなったとおばあちゃんは言っています。 

19.時々はひとりになり、自分が今の家族と一緒にいる事がどれだけ幸せであるか

           顧みる事が必要。(愛情) 

毎日一緒にいると、相手の悪い事ばかりが目立ち、良い事は忘れがちになるようです。ですから、たまには離れてみて、お互いの存在を感謝できる時間を持つことが大切だとおばあちゃんは思っています。 

おばあちゃんのご主人の場合は、過去何十年もの間、会社の出張で毎月何日かホテルで宿泊する事がありました。彼が言う事には、ホテルの一室で、たった一人で過ごす時ほど家族の事を思い、一緒に生活している事に対して、感謝の気持ちに満たされたことは無かったそうです。ですから、そんな事もおばあちゃん達の幸せな結婚生活を支えてきたみたいです。

別に一人でホテルに行く事を勧めている訳ではありません。時々相手から離れて過ごし、お互いの大切さを振り返ることができればどんな方法でも良いと思います。例えば、一人で長い散歩に出かけるのも…。

   

20.離婚したあとの生活の困難さ、そして煩わしさを認識すること。 

最近は国際結婚でなくても離婚率は50%以上になってきています。離婚という言葉自体が頻繁に聞かれるようになって、離婚することが社会的に悪い事だとみられなくなってきたのは嬉しいことです。でも現在でも離婚をするという事は個人的にも社会的にもいろいろな問題を起こし続けているのは事実だとおばあちゃんは思っています。離婚が絶対に必要で無いとはおばあちゃんは思っていません。なぜなら、もし相手が暴力を振るうような人なら自分や子供たちを守るために離婚はせざるを得ないとおばあちゃんは思っています。ここで触れるのはそんな事が無いことを前提にしています。

 

個人的な問題の一つは、離婚するにはかなりのお金がかかる事です。弁護士や裁判所の費用、もし子供がいる場合は離婚したあと養育費も払わなければなりません。経費だけではありません。離婚の手続きをするには裁判所に通ったり、弁護士との会議があったり、沢山の時間も費やさなければならないので仕事をしている場合にはそう簡単な事ではありません。 

個人的な問題のもう一つは、子供がいる場合です。目の前で喧嘩ばかりしている親をみて、離婚したのは自分のせいだと攻める子供達もかなり多いそうです。 そして子供達は親の離婚後、一人の親に育てられるか、父親と母親の家を行き来しなければなりません。という事は、子ども達から一つの場所に定着する幸せを、親は奪い取る事になります。それどころか、将来の子供達が結婚するような立場になった時、相手との信頼関係を持つ自信を無くしてしまうと、おばあちゃんは心から心配しています。 

子供達を引き取った親にもいろいろな問題が起きます。離婚後は仕事と子育てを両立しなければならないので、精神的にも肉体的にも疲れてくると思います。 本当だったら子供が社会に出るまで親が何事に対しても導いてあげなくてはならないのに、一人の親では単に子供に愛情を注ぐのでさえが難しくなり、毎日の生活が苦しく思えるのではとおばあちゃんは思っています。そうなると、子供達の心の成長にも影響があり、社会的に悪循環になるのでは?

勿論、離婚後、経済的にも色々と問題が出てきます。まず一緒にいた家も売らなければならないし、今迄共有していた資産をどう分けるかという事も問題になってきます。幸せを求めるならそんな問題は乗り越えられると思う場合は別なのでしょうが。 

 

社会が被る問題はこんな事もあります。先日アメリカのテレビ番組を見ていたのですが、ある男性は強いられた養育費が仕事を無くしたため払えなくなり、最後は牢獄に入れられてしまったのだとか…。その他には母親が再婚した後、新しい父親が娘に興味を持ち、知らない間に娘が暴行されていたとか。幼い娘は、自分を恥じて誰にも言えず一生苦しみながら生きなければならないのだとか。これらの事は社会的にも大きな問題に繋がります。 

そして前にも触れましたが、もし離婚してまた恋愛をしても、たいていは同じタイプの人を好きになる例が多いのだとおばあちゃんは思っています。それが本当なら、最初の結婚で問題があるなら、それを何とかして二人で乗り越えなければ何度結婚を繰り返しても同じ事になります。2度、3度目の離婚率は1度目よりもっと高いことをおばあちゃんは知っています。

 

再婚しても、どれだけの人が本当に幸せになるのでしょうか? おばあちゃんが思うに、新しい相手に自分の大切な子供達や友達の大切さを理解して貰うにはかなりの努力と時間がいる。時々は嫉妬も交じって、自分が今まで大切にしてきた人達との関係を絶たなければならないかもしれない。そして新しい相手とは過去の、特に子供達と一緒に過ごした大切なメモリー(思い出)を分かちあえないかもしれないのです。もっともそれでも二度目の結婚をして幸せになった人達もお祖母ちゃんは知っていますが。

個人の幸せを求めることが悪い事だとおばあちゃんは言っている訳ではありません。もし今の夫婦の生活があまりにも貴女自身を傷つけているのなら離婚を求める以外方法がない時も勿論有るでしょう。おばあちゃんが言いたいことは、離婚を決心する前に、もっとお互いに問題を解決する努力をしてはどうかと言っているだけなのです。

最近はモノを簡単に捨てる社会になってきている事はおばあちゃんも良く知っています。だから人間関係にしても、自分の幸せを求めるが故にあまり努力もせず簡単に断ち切ってしまう事も多く見られるのです。でも彼女は大切な夫婦や親子関係までも、あまり価値のないモノと同様に簡単に捨てられてしまう今の世の中を見てとても情けなく感じています。

これから年を取っていく事は誰も避けられません。そして将来重い病気になり、死を迎えたときに、本当に自分一人になってしまうのはとても孤独であるとおばあちゃんは思っています。とにかく老後の一人暮らしはとても寂しいものではないかと。亡くなるまで長い間一緒に過ごし、過去の思い出を分かち合える誰かと居られるという事は、本当に幸せな事だと思えるのです。   

最後に、おばあちゃんが勧めたいことが一つあります。それは相手の良さを50項ほど書き出すことです。そして喧嘩をした時や相手への愛情に不安を感じた時に読み返すことによって自分のその時の問題がどんなにつまらないことであったかという事に気がつく事ができたら本当に良いのではとおばあちゃんは思っています。

 

例えばおばあちゃんの場合は:

  • 今の幸せな自分の生活は夫がいるからこそ築きあげられてきた。
  • 夫は素晴らしい父親、そしてお爺ちゃんである。と同時に、子ども達からも孫からも愛されている。
  • 今でも愛情をもっておばあちゃんに接してくれる。
  • 長い間一緒に努力して生活してきたので、その過去の出来事(特に子供の孫の話)を一緒に楽しみながら話すことができる。
  • おばあちゃんの話をきちんと聞いてくれるようになった。
  • おばあちゃんと一緒に家事を手伝ってくれる。
  • おばあちゃんのやりたいことは必ず応援してくれる。
  • 初めて逢ってから48年以上たった今でも一緒にいると楽しい。

まだまだ書けば沢山あるのですが、この辺にしておきます。 

こんな偉そうなことを書いても、これからも幸せな結婚生活を続けられるなどという保証は全く有りません。どうしてかというと、前にも触れた通り人間の人生なんて何処でどんなことが有るか分らないものですから。でもそれをもわきまえて、結婚の秘訣をおばあちゃんの経験を通して書いてみました。貴女の結婚生活が末永く続くことを心から願いながら